はじめに
キットでは用意された部品を、指示書通りに組み立てていけば、大抵できるものです。
しかし、自分で設計した回路や、本で紹介されていた回路の変更、あるいは希望する部品がなくて代替品を使うときなど、実際に組み立てても回路が動作しないときがあります。そんなときに、組み立ててしまってから、もう少し抵抗値を大きく(小さく)すればよかったとか、このICを違う種類に変更すれば動作するはずだったとか、後になって気が付くこともあります。
例えユニバーサル基板であっても、一度半田付けしてしまった部品を、はずしたり付けたりすることは、作業が大変で時間もかかります。
そこで、電子回路を試作する場合には、プリント基板に組む前に、大方はブレッドボードを使うと思います。ブレッドボードは電子回路のアイデアを即、組み立てられる夢のソルダーレス(半田付け不要)ボードです。10MHz以上の高周波回路では使えませんが、ディジタル回路や音響などの低周波回路については、まさにこのボードは助け船となってくれます。
夢のソルダーレス(半田付け不要)ボードを使おう!
さて、このソルダーレスボードですが、各種サイズ/構成ブロックの数により多くの種類があります。ここでは、秋月電子通商の例を見てみましょう。EIC−108Jが最も大きく、有効外形寸法24cm×21cmと巨大です。構成ブロックのEIC−301は、SK−5ケースにきっちり入るため、ちょっとした電子回路など、プリント基板の代替として使うことも可能です。ブレッドボードは、1,450円より一番大きなボードでも 3,600円、構成ブロックで400〜600円程度ですので、大きいボードを1つと、そして構成ブロックをいくつか持っていると非常に便利です。一度使い始めると、その便利さが分かり、もう手放せなくなってしまいます(^^;)
品名 | プレート寸法[mm] | ボード寸法 | 部品配線 ブロック数 |
電源配線 ブロック数 |
合計穴数 | 配線ケーブル | ターミナル ポスト数 |
ゴム足 | |
種類 | 数 | ||||||||
EIC−102BJ | 185×100×1.2 | 165× 54×8.5 | 1本 | 2本 | 830個 | 14種 | 70本 | 3本 | 4個 |
EIC−106J | 230×175×1.2 | 165×175×8.5 | 3本 | 5本 | 1390個 | 14種 | 140本 | 4本 | 4個 |
EIC−108J | 240×210×1.2 | 185×195×8.5 | 4本 | 7本 | 3220個 | 14種 | 140本 | 4本 | 4個 |
EIC−104−3 | 100×215×1.2 | 80×165×8.5 | 2本 | 1本 | 1360個 | − | − | − | − |
EIC−104 | 130×215×1.2 | 108×165×8.5 | 2本 | 3本 | 1560個 | − | − | − | − |
EIC−333 | 148×130×1.2 | 137× 84×8.5 | 3本 | − | 810個 | − | − | 4本 | 4個 |
品名 | ブロック | プレート寸法 | 合計穴数 |
EIC−301 | 部品配線用 | 84×46 | 270個 |
EIC−DN | 電源配線用 | 165× 9 | 100個 |
EIC−TN | 部品配線用 | 165×35 | 630個 |
EIC−501 | 部品配線用 | 117×45 | 470個 |
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図1.ブレッドボード(EIC-106J)の全体画像 |
ブレッドボードの使い方をマスターしよう
ブレッドボードの構成ブロックについて説明します。図2を見て下さい。ここでは、ブレッドボードEIC−106Jを使いました。まず、ターミナルが4本(赤Va、黄Vb、緑Vc、黒)とあります。このターミナルは主に電源端子との接続に使用し、赤Va,,黄Vbは正電源、緑Vcは負電源、黒はアース(GND)等として決めた方がいいでしょう。
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図2.ブレッドボードの構成ブロック |
次ぎに、ブレッドボードの構成ブロックですが、大きく分けて部品配線用と電源配線用があります。図2で+−と記載されたブロックが電源配線用ブロック、abcdefghijと記載されたブロックが部品配線ブロックです。
まず電源配線ブロックですが、赤い[+]のラインに沿った穴同士、青い[−]のラインに沿った穴同士が、中でつながっています。一方、部品配線ブロックですが、図中[abcde]のラインに沿った穴同士、[fghij]のラインに沿った穴同士が、中でつながっています。
つながっている箇所の方向を、図2の矢印で示します。忘れてしまったら、テスタで導通チェックして確認して下さい。
それでは、ターミナルと電源配線ブロックとを接続します。
図3に、接続配線ケーブルを示します。サイズの大きなブレッドボードには、それぞれ長さと色の違うビニール被覆線が付属してきます。被覆がむけた配線の両端ですが、ニッパーで線の先端を加工し、ブレッドボードの穴へ挿し易いようにとがらせておきます。線の中でも長さ20cmくらいのものは、ほとんど使いませんので、よく使いそうな長さ(5cm程度)に切っておいてもよいでしょう。
ターミナルとの接続は、ビニール線にU字型の圧着端子をつけたり、バナナプラグを使った方が、見栄えが良くなるばかりではなく、取り外しも楽です。これは付属しておりませんので別途用意して下さい。
ターミナルの上部には、バナナプラグで電源と接続し、そのターミナルからは、U字圧着端子を使って、電源配線用ブロックとを接続します。電源ブロックの[+]と[−]間には、100μF程度の電解コンデンサを入れておくと良いでしょう。このとき使用するコンデンサの耐圧に注意してください。15V電源で16V用のコンデンサを使ってもよいと思いますが、耐圧をもう少し高く、例えば35V耐圧のコンデンサを使うなど、余裕をみてください。
なお、各電源配線ブロックの[−]を接続ケーブルでつなぎ合わせ、GNDとして全体を接続しておくと便利です。
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図3. ターミナルと電源配線ブロックとの接続例 |
ブレッドボードに部品の差し方のノウハウ
図4は、ブレッドボードに部品を挿した一例です。穴の間隔は、2.54mmですので、大半の部品の端子幅に合わせて作られています。トランジスタは少し足を広げるようにすると挿すことが出来ます。
三端子レギュレータの足は、横に少し太くなっているため、そのままでは穴に入りません。ブレッドボードの穴は真四角ではなく、ほんの少し縦と横の幅が違っています。
そこで、図5に示すように、三端子レギュレータの足の先端から細い部分までを、ラジオペンチなどで90度ひねってやると、うまく挿すことが出来るようになります。
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図4.ブレッドボードに部品を 挿した一例 |
図5.三端子レギュレータの 足の加工 |
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